今私の左手薬指にあるピンクゴールドの指輪は、俗にいう婚約指輪って言われるものだった
ディーノが私の薬指にそれをはめてくれたときの私は、今思うととってもアホだったと思う。思考回路が止まって、ぽかんとしたまま自分の薬指を見ていたのだ。
「・・ディー、ノ?これ、」
「それ選ぶのに1週間もかかっちまったんだぜ?思ったとおり、によく似合ってるよ」

いつのまにかぎゅっと抱きしめられていて、頬とか目元とか、唇にも触れるくらいのやさしいキスがいっぱい降ってくる。まだ事を飲み込めていない私に大してディーノはさらに私を困惑させる言葉を紡いできた。

「一生、大事にする。、俺と結婚してくれないか?」
「・・け、っこん?」

「結婚」という言葉を聞いて私の頭の中はなんだかもうよくわからなくなってきていて今にもパンクしそう。(ディーノが、私と、結婚・・?)目をぱちぱちさせながらディーノの綺麗な琥珀色の瞳を見る。ディーノの目は真剣で、まっすぐに私を捕らえていて離さなかった。


***

私とディーノは小さいころからの知り合い。一緒に遊んで、子どもなりの悪いことをして親に一緒に怒られたり、本心なのかふざけ半分なのかわからないけど「将来ディーノのお嫁さんになる!」とまで言っていた。
私とディーノは人生の半分以上一緒にいたんじゃないかと思うくらい近い存在。友情よりもっと奥で愛情よりは少し手前な感情が愛情に変わったのはいつごろなのだろうか。考えてみても一緒にいるのが当たり前のようになっていた私たちはいつのまにかお互いを好きになっていたのだ
変わったことといえば一緒に遊ぶ、というのがデートになったことと、ディーノがマフィアのボスになったことくらい。特に大きな変化もないまま18年間が過ぎた。


「あなたももう18になるのねぇ・・」
「どうしたのよ母さん、急に」
「早く孫の顔が見たいわ、と思ってね」
「ま、まごっ?誰の?!」
「誰って、、貴女とディーノさんの子どもに決まってるでしょ」

居間にあるソファに座ってゆっくりコーヒーを飲みながらまったりしているときに言われたその言葉は私を驚かせるのには十分すぎるほどだった。ちょっとまって、確かに私とディーノは付き合ってるし、好きだけど・・
「ちょ、ちょっと待ってよ。気が早いんじゃない?私とディーノは婚約すらしてないのに急に孫とか言われても・・・」
「あら?母さんはてっきり貴女とディーノさんは結婚するものだと思ってたわ」
「・・・・」

ディーノと結婚・・ねえ。なんとなくだけど、いつかはそうなるのかなあと思ったことも何回かあったりする。でも心のなかの片隅で「まだ先の話」とも思っていた。(私、ディーノ以外の男の人と付き合ったことないからなあ・・)

「さ、明日は貴女の誕生日パーティーで忙しいんだからもう寝ましょ!」
自分から話を振ってきたのに。と言おうと思ったけれどやめた。私は母さんに「うん、今日はもう寝るね。おやすみ」と行って居間を後にした。自分の部屋へ向かう途中、ぼんやりしていて壁にぶつかりそうになったりしたけど部屋に着いた。ベッドにダイブして、目を閉じる。あぁだめ、結婚っていう言葉が頭から離れない。もんもんと考え事をしながら、いつのまに私は眠りについたのだった



***

誕生日の日、ディーノは私にプロポーズをしてくれて、私は「yes.」と答えた。断る理由?そんなの見つからないもの。 今が、すごく幸せ。それでいいかなあって思ってる

これから挙式とか、披露宴とかどんどん忙しくなっていくんだろうなあと思うと自然と笑みが溢れる。 大変なこともいっぱいあるだろうけどディーノとなら大丈夫だって心の底から思えるから。

これが幸せっていうんだね、と心の中で幸せをかみしめた

噛み締めた幸せ

(貴女に、永遠の愛を。)120308加筆修正*ちさと
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